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Q&A(よくあるご質問)


 自治体の法律相談会、各種講演会などで市民の皆さんからよく寄せられる質問と、これに対する当事務所なりの回答を掲載しました。参考にしていてだければ幸いです。

[相続(遺言)]

Q:
 
遺言書の作成を考えています。どのような遺言書を作ったらよいでしょうか。
 
A:
 遺言書には大きく分けて自筆遺言と公正証書遺言の2つがあります。
 自筆遺言は、読んで字の如く、あなた自身が自筆して作成する遺言で、公正証書遺言は、公証人という専門の公務員があなたの依頼で作成する遺言です。
 このうち、おすすめは公正証書遺言です。費用は数万円(遺産総額による))かかりますが、遺言を公文書として残せるので、あとあとトラブルになる危険がずっと少なくなります。
 それに、遺言したい内容を伝えれば、公証人がそれをちゃんとした遺言書に仕上げてくれるので、作成作業もずっと楽になります。
 連絡先は、タウンページの「公証人」の欄に掲載されています。
 もちろん、弁護士に遺言案の作成・公証役場との折衝等一切を依頼することもできます。
 

[依頼人の出廷義務]

Q:
 
民事訴訟の依頼をしたいのですが、私も毎回裁判所に行かなければならないのでしょうか。仕事があるので毎回の出廷は難しいのですが。

A:
 弁護士に依頼すれば、本人尋問(通常1回で終わります)のときを除いて、出廷の必要ありません。
  

[契約書の作成]

Q:
 
契約書の作成において、注意すべき点を教えてください。また、契約書の作成やチェックだけを依頼することはできますか。

A:
主な注意点を挙げるとすれば、次のようになるでしょうか。
 @強行法規に反した規定がないか(違反していれば、裁判所に無効とされる)
 A契約の相手方が消費者である場合は、消費者保護関連法を考慮した規定になっているか(消費者保護関連法に違反していれば、裁判所に無効とされる)
 B肝心な点が「別途協議する」などとされていないか(法的には何の意味もない)。
 C相手方にフリーハンドを認める不公平な規定がないか(結構、よく見かける。会社対会社の契約だと、後からなかなか無効にできない)

 契約書の作成やチェックだけを依頼することもできます。むしろ、私としては、自信のあるもの以外は全部弁護士に依頼したほうがよいと思っています。実際、上記した注意点@からCをご自分でチェックできる方はなかなかおられないでしょう。
 
 日本はアメリカのような契約社会ではない、とよく言われますが、裁判になったら契約書が物を言う、という点では同じです。

[弁護士費用の分割払い]

Q:
 
弁護士費用の分割払いは可能ですか。

A:
 当事務所では、給料など安定収入がある方については、弁護士費用の分割払いもお受けしています。
 

[交通事故(休業損害)]

Q:
 交通事故の被害にあいました。治療費は相手方の保険会社から支払われていましたが、先日、支払いをやめる、と通告されました。まだ症状が改善していないのに納得がいきません。異議を述べることはできないのでしょうか。

A:
 残念ながら、異議を述べることはできません。保険金は示談が成立しないと、支払われないことになっています。ですので、現在、保険会社があなたの治療費を支払っているのは「任意」であって、「義務」ではありません。保険会社がどこまで治療費を認めるかは、治療終了後に行われる示談交渉次第ということになります。

[弁護士の取扱分野]

Q:
 弁護士さんは、お医者さんの診療科目のように、それぞれ民事弁護専門、刑事弁護専門、あるいは離婚専門など取り扱う分野が決まっているのでしょうか。

A:
 弁護士が100万人もいるアメリカでは、離婚を専門にする弁護士は離婚事件しか取り扱わず、交通事故を専門にする弁護士は交通事故の依頼しか受け付けないといいます。
 これに対し、弁護士が3万人しかいない日本では、弁護士の頭数自体が足りないので、特定の分野以外は取り扱わないという法律事務所はあまり見かけません。
 とはいえ、当然ながら弁護士ごとに得意分野というものはあります(もちろん苦手分野も)。
 ちなみに、当事務所の場合、不動産、医療事件(主に歯科医療。医療機関側)、会社の倒産処理に力を入れています。

[不動産(賃貸借)]

Q:
 アパートの管理を受託している不動産業者です。賃借人が部屋に家財道具を残したまま行方不明になりました。このような場合、財産を放棄したものとみなし、こちらで勝手に処分しても大丈夫でしょうか。

A:
 勝手に処分してはいけません。
 裁判所で建物明渡の判決をもらって、強制執行してください。
 日本の法律では、たとえ相手が悪い場合でも、私人が他人の財産を勝手に処分することは認められていないのです。
 法的手続には費用と手間がかかりますが、法治国家である以上これは仕方ありません。
 勝手に処分して賃借人から訴えられたら、まず間違いなく負けると思って下さい。

[相続・不動産の評価]

Q:
 亡父の遺産分割協議をしています。長男の私が実家の土地建物を相続する代わりに、二男・三男には、代償金を支払うことで合意しました。
 ついては、代償金の基準となる不動産の価格を定めなければなりませんが、不動産の価格というのはどうやって知ることができるのでしょうか。
 
A:不動産の価格の把握は簡単ではありません。
 一番身近なのが、固定資産税評価額というものです。これは、市町村が毎年評価する不動産の価格で、土地の場合、時価の7割程度と言われています ただ、物件によっては実勢価格よりもかなり高いと思われる場合もあり、不動産の価格を知る資料としての価値はあまり高くないのが実情です。(なお、建物の場合は、時価とはほとんど関係のない尺度で評価されています)。
 訴訟の場では、不動産鑑定士の鑑定評価額が一番通用力があるのですが、十万円単位の費用がかかるのが通常です。
 そこで、不動産がさほど高価でなく、かつ、相続人間に争いがないようであれば、通常は固定資産税評価額を不動産の時価とみなして代償金を決めることが多いようです。
 

[債務整理(自己破産、個人再生、任意整理の違い)]

Q:
 多重債務整理の手段として、自己破産、個人再生、任意整理の3つがあると聞きました。それぞれどこが違うのか簡単に教えて下さい。

A:
 自己破産とは、当座の生活費と生活必需品を除く全ての財産を裁判所に差し出し、これを換金して払えるだけ借金を払い、残った分は全額免除してもらう手続きです。
 自己破産のメリットは、何といっても借金が全てなくなるという点です。
 自己破産すると戸籍に載せられるとか、選挙権が停止されるとか、勤め先に通知が行くとか、色々と脅かすような情報が飛び交っているようですが、そのようなことは一切ありません。
 ただし、保険外交員や警備員などのように他人の財産を管理したり、監視したりする仕事は退職してもらう必要があります。
 個人再生とは、裁判所に借金を100〜150万円程度に圧縮してもらい、これを3年間で分割払いすれば、残りは免除されるという手続きです。
 個人再生のメリットは、住宅を保持したまま、債務が圧縮できるという点です。
 逆に言えば、住宅を残してもらう代わりに、自己破産のように借金の全額免除までは認めなてもらえないということでもあります。
 また、ギャンブルや浪費が借金の主な原因だと自己破産が認められないこともあるのですが、個人再生ではそのような制限もありません。
 任意整理は、裁判所を通さず、個別に債権者と話し合って債務を整理する方法です。
 裁判所を通さずに行うところが、自己破産や個人再生と違う点です。
 そのため、個々の債権者の同意を得なければならず、債権者ごとに解決内容が異なることもあります。
 自己破産、個人再生、任意整理、いずれの手段を取っても、ブラックリストには載せられます。
 だいたい7年間くらいはクレジット、ローンが組めなくなるようです。

[契約トラブルによる慰謝料]

Q:
 契約をめぐるトラブルで業者と交渉をしています。業者は受け取った代金の全額返還に応じるといっていますが、トラブルになったこと自体で大きな精神的苦痛を受けており、代金全額の返還だけでは気が済みません。慰謝料も請求することができますか。

A:
 契約トラブルで慰謝料を請求される方は多いですが、過去の裁判例を見ても、業者の対応が不誠実で精神的苦痛を受けたとか、無用なトラブルに巻き込まれたことで精神的苦痛を受けたとか、そのような理由で慰謝料が認められたことはほとんどありません。
 財産的な損害が填補されれば、それによってもろもろの精神的な苦痛は慰謝されたものとみなすというのが裁判所の基本的な考え方だからです。

[会社の倒産処理]

Q:
 会社の破産費用はどのくらい掛かりますか。

A:
 中小企業の場合、大概代表者が連帯保証人になっていますから、会社の破産と代表者の個人破産をセットで行うという前提で以下ご説明します。
 まず、弁護士費用として、当事務所では、原則52万5000円(消費税込)とさせていただいております。ただし、債権者が30以上の大型倒産の場合は、21万円上乗せになります。
 弁護士費用のほかに、裁判所に納める予納金というお金も必要となります。
 これは、破産管財人といって裁判所が雇う弁護士の報酬に充てられるお金です。。
 予納金は、総負債額を基準として、裁判所が50万円から170万円くらいの間で定めます。
 ただし、有害物・廃棄物がある場合、別途その処理費用を上乗せされることもあります。
 また、費用の関係で、会社はいいから代表者個人だけ破産申請してもらいたいという依頼を受けることもあるのですが、これも認められない扱いになっています。
 以上のとおり、会社を破産させるのにも結構な費用が掛かるということがお分りだと思います。
 まだ余裕のあるうちに決断してください。


[不動産(競売)]

Q:
 自宅が競売にかけられましたが、幸い、親類が援助を申し出てくれました。担保権者の金融機関と話し合って、自宅を買い戻したいのですが、どうしたら良いですか。

A:
 まず、担保権者である金融機関に「任意売却」の申し入れをしてください。
 金融機関は、提示された額を見て、競売で売却するより有利だと判断すれば、「自宅の買戻(ただし債務者以外方のの名義で)+競売の取下げ」に応じてくれます。
 担保権者が複数いる場合は、全員の承諾が必要になります。また、税金の滞納などによる差し押さえがある場合は、差し押さえをした役所の承諾も必要になります(競売になったら配当の見込みがないような相手に対しても、承諾料として数十万円は支払うのが通常です)。
 任意売却には期限があります。「開札日の前日までに、競売の申立てを取り下げてもらわなければならない」という前提で話し合いを進めて下さい。
 最後に、任意売却が不調に終わった場合でも、競売に入札するという手段も残されていますから、あきらめないでください(ただし、入札は債務者以外の方の名義でする必要があります)。



[民事事件(公正証書、即決和解)]

Q:
 
民事のトラブルで、話し合いの結果、相手方と和解に至りました。口約束で済ますのは怖いので、和解内容を文書にしたいと考えていますが、知人から、このような場合は、私文書ではなくて、公正証書にした方が良いと助言されました。公正証書とはどのような文書ですか。私文書で和解した場合とどのような違いがありますか。

A:
 公正証書とは、公証人という法律に精通した公務員(多くは裁判官・検察官のOB)が作成する公文書の一種で、法律で特別な効力が認められています。
 まず、私文書と違い、公務員が職務上作成した公文書ということで、文書が真正に成立したことが法律上推定されます。よって、相手方から文書偽造と争われるリスクをかなり軽減できます。
 また、私文書で和解した場合、相手が和解条項を守らなかったときは、裁判所に提訴し、判決をもらって、強制執行という手順を踏まなければなりませんが、これには結構な手間と費用がかかります。
 これに対して、公正証書で和解をした場合、相手方が和解条項を守らなかったときは、裁判をすることなく、いきなり強制執行することができます。
 これはかなりな手間と費用の節約になります。
 ただし、注意を要するのは、公正証書にこのような効力(いきなり強制執行できる)が認められるのは、原則として金銭の支払いに関する条項に限られるということです。
 したがって、たとえば、相手方が建物の明渡しなどの条項に違反した場合、公正証書であっても、私文書と同じように、裁判所に提訴して勝訴判決をもらわなければ強制執行できません。
 そこで、建物明渡しなどの和解をする場合、私がおすすめするのは、即決和解という手続きです。
 即決和解とは、裁判所で和解内容を文書にしてもらう手続きです。即決和解をすれば、金銭の支払いに限られず、土地の明渡しなどすべての条項について、約束違反の場合、いきなり強制執行する効力が認められます。
 即決和解は、全国すべての簡易裁判所で取り扱っています。



[交通事(主婦の休業損害)]

Q:
 
交通事故の被害にあいました。私は主婦ですが、入通院のために家事をできませんでした。主婦の場合、休業損害は認められないのでしょうか。

A:
 主婦でも休業損害は認められます。国が発表している「賃金センサス」という統計資料がありますが、そこに女子労働者の平均賃金が掲載されています。主婦業も立派な仕事ですが、実際の収入がないので、とりあえず女子労働者平均賃金を基準に休業損害を算定しています。ちなみに、パート兼業主婦の場合は、パート収入と女子労働者の平均賃金を比較して、大きいほうを基準にします。

 

[不動産(競売)]

Q:
 
自営業を営んでおります。金融機関への返済が滞り、自宅兼事務所が競売にかけられました。
 競売によって金融機関に対する債務は消滅すると理解してよいでしょうか。

A:
 競売の売却代金は、競売費用や担保権者である金融機関に対する支払いなどに充てられます。
 売却代金が債務全額に足りなかった場合、不足分は無担保債務として残ります。
 この点を誤解している方をよく見受けます。ご注意ください。
 



[相続]

Q:
 
最近、父親が亡くなりました。父親は生前、個人で商売をしており、不動産や預金などの資産もそれなりある反面、借金も相当あるようです。このような場合、相続人としては、どのような選択が可能なのでしょうか。

A:
 相続人としては、相続を承認するか、相続を放棄するか、3か月以内に選択しなければなりません(*)。
 まず、相続を承認する場合、不動産・預金などの資産も相続できる代わりに、負債も承継しなければなりません。
 これに対し、相続を放棄する場合、負債を引き継がなくて済む代わりに、資産も相続できなくなります。
 相続を放棄する場合、原則としてお父様が亡くなってから3か月以内に裁判所にその旨を申し出なければなりません。
 相続を放棄した相続人は、相続に関しては、法律上、最初から存在しなかったとみなされます。そのため、場合によっては、次順位の相続人に相続権が移ることもあります(たとえば、実子全員が相続放棄した結果、兄弟姉妹に相続権が移ります))。
 相続人が複数いる場合、相続を承認するか放棄するかは、各人ごとに決めてよいことになっています。
 なお、うかつに遺産を処分したりすると、3か月以内であっても、相続放棄が認められなくなります。気をつけて下さい。

 (*)民法には、第三の選択肢として限定承認という方法も定められているのですが、手続きが煩雑で使いにくいため、実際にはほとんど利用されていません。




[過払い金返還]

Q:
 
消費者金融や信販会社と10年間以上取引しています。
 最近、新聞や雑誌で、業者に請求すると過払い金の返還が受けられるという記事をよく見かけます。
 過払い金が返還されるかどうか、どうやって調べたらよいですか。


A:
 消費者金融や信販会社の多くは法律の定める上限以上の金利で貸付を行っています。
 上限を超える金利を上限金利に引き直して取引開始時から計算し直すと、貸付残高がどんどん減っていきます。
 10年間以上取引していれば、ほぼ間違いなく過払いになっているでしょう。
 ただ、この計算には専門知識が必要となるので、弁護士に依頼しないと難しいと思います。
 過去の取引明細が手元になくても、業者に開示させることができますので、心配要りません。
 調査の結果、過払いになっていなくても、元金が大幅に減りますので、やる価値はあります。
 なお、完済後の過払い金返還も可能です。




[不動産(賃貸借)]

Q:
 
アパートを所有していますが、大手スーパーから敷地を買いたいという申込がありました。とても有利な条件ですので、前向き交渉を進めたいと思っています。ただ、スーパーと契約するには、アパートの賃借人に出て行ってもらう必要があります。賃貸借の契約期間は2年と定められており、期間満了時に契約更新せずに出て行ってもらう考えでいるのですが、大丈夫でしょうか。

A:
 あなたが考えているより難しいと思います。
 アパートやテナントビルなどの賃貸借については借地借家法という法律によって賃借人が保護されており、賃借人が契約継続を望む限り、原則として契約は更新されてしまいます。よって、一般の賃貸借契約の場合(*)、契約期間の定めはほとんど意味がないと思ってください。
 そのため、このケースのように大家さんの都合で出て行ってもらいたいのであれば、大家さんが立ち退き料を支払うことを条件に契約の解消を申し入れることになります。
 立ち退き料の金額は法律に具体的な算定基準が定められておらず、裁判例もケースバイケースで、相場というものはありません。
 ただし、最低でも、転居にかかる費用(引っ越し先の敷金、礼金、前払い家賃、不動産手数料、引っ越し業者代)くらいは大家さんが負担するのが通例です。

(*)定期借家契約といって契約更新がされない賃貸借契約もあります。将来、アパートを他の用途に転用する可能性がある場合は、最初から定期借家契約にしたほうが良いでしょう。



[法律相談(セカンドオピニオン)]

Q:
 
労働事件で裁判を起こすかどうか迷っています。複数の弁護士の法律相談を受けましたが、弁護士によって言うことが180度違い、戸惑っています。法律的に正しい回答をもらいたいのですが、これはどういうことなのでしょう。

A:
 法律は数学の公式とは違います。実際の裁判でも、同じ事実を同じ法律にあてはめているにもかかわらず、担当する裁判官によって判断が全く異なることがよくあります。
 法律の世界では「人による評価」というプロセスが介在するからです。
 労働事件、中でも解雇事案などは、結果の予測が難しい場合が多いといえます(裁判官の裁量を広く認めるような法律の定め方をしているからです)。
 とはいえ、単に弁護士の知識が足りないせいで的確な回答ができないということもないわけではありません。弁護士の説明の仕方に納得がいかない場合は、別の弁護士の意見も聞いて見るのもよいと思います。ただ、最終的には、それらの意見を比較検討して自分自身で決めるしかありません。



[成年後見(高齢者の消費者被害)]


Q:
 父親が、最近、電話で勧誘された複数の業者に、株式投資やリフォーム工事など高額の契約をさせられているようです。父親は、数年前から認知症で、判断能力の衰えが顕著です。業者に連絡を取っても、本人とした契約だからといって解約に応じてもらえません。父親は、老後の生活資金として貯めた定期預金を解約して、代金を支払っているようですが、自分のしていることの意味も分かっていないと思います。私も日中は仕事があるので、いつも父を監視することもできず、困っています。このような被害を防ぐ手段はないのでしょうか。

A:
 成年後見制度の利用を検討されてみてはいかがでしょう
 成年後見制度とは、認知症の高齢者や知的障害者の財産保護を目的とした制度です。
 成年後見制度がどんなものか分かっていただくためには、未成年者の親権者と比較していただくのが分かりやすいと思います。
 未成年者は、単独で高額の契約ができず、もし親権者に無断で高額の契約をした場合、親権者は、理由なしで契約を取り消すことができます。
 未成年者には十分な判断能力がないためです。
 そして、成年者であっても、認知症が進んだ高齢者や知的障害者の中には、未成年者と同程度か、或いはそれ以上に判断能力が不十分な方がいます。
 このような方を保護するために、成年後見制度があります。
 裁判所が、本人のために成年後見人を選任すると、後見人が未成年者の親権者のような立場になります。
 つまり、成年後見人が選任された後に、本人が悪い業者に騙されて高額の契約を結ばされても、後見人は理由なしに契約を取り消すことができます。また、本人が定期預金を解約することもできなくなります。
 このように、成年後見人が選任されれば、本人の財産は安全に保護されます。
 配偶者や子など近親者の中から、もっとも適任だと思われる方を成年後見人に選ぶことが多いのですが、弁護士など専門家を選任してもらうこともできます。
 ただ、弁護士の場合は、本人の財産から年間20〜36万円くらいの報酬を支払わなければなりません。
 後見人の人選にあたっては、推定相続人全員の意向を聴取します
 ちなみに、本人が、将来判断能力が衰えてきたときに備え、あらかじめ自分の後見人を指定しておく任意後見制度というものもあります
 


 Q&Aは今後も随時追加していきます。