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あおい法律事務所は、企業再生、事業承継、交通事故、相続、離婚、債務整理などの民事・家事事件を取り扱う総合法律事務所です。

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〒310-0062 茨城県水戸市大町1丁目2番27号

よくある相談と回答例

高齢者・障がい者

【高齢者の財産保護(成年後見制度)】

Q:認知症の父がいます。実家で一人暮らしをしているのですが、悪徳業者に不要な契約を結ばされたり、親族に預貯金を勝手に下されたりしないか心配です。良い方法はありませんか。

A:成年後見制度の利用を検討してみてはいかがでしょう。
 成年後見制度とは、裁判所が、判断能力が衰えたお年寄りや知的障がい者の後見人を選任し、以後は後見人が本人に代わってその財産を管理するという制度です。
 成年後見人が選任されれば、今後、悪徳業者に不要な契約を結ばされたりしても後見人は無条件で取り消すことができます。
 また、預貯金はすべて後見人が管理することになりますので、親族に勝手に下されたりする心配も要らなくなります。
 本人の財産保護という観点からは大変有効な制度で、近年、利用件数は大幅に伸びています(年間約3万件)。
 
 お聞き及びかもしれませんが、近年、後見人の横領事案が社会問題化しております。
 そのため、親族が後見人になる場合で、本人に1000万円を超える金融資産があるケースでは、金融資産を信託銀行に預け、毎月、必要な額の定期送金を受けるという方式をとらなければならないことが多くなりました(この手続きをするためだけに、スポット的に、弁護士や司法書士が後見人に選任されます)。
 弁護士が後見人になる場合は、必ずしも信託銀行の利用を要求されませんが、当然、有償となり、本人の資産から、毎年報酬を支払う必要があります(報酬額は、本人の資産規模等に応じて裁判所が定めます。通常、年額20〜40万円です)。
 専門家の後見人にも問題を起こす方がいるのは、残念ながら事実です(実際、私自身も不適切な財産管理を理由に裁判所に解任された専門家後見人の後任に選任されたことがあります)。茨城程度の規模ですと、弁護士、司法書士がどのような人物なのか、裁判所はすべて把握しています。ホームページで探した弁護士や司法書士、自分から売り込んでくる弁護士や司法書士は避けて、後見人の人選は裁判所に任せたほうが良いと思います。

【相続人に知的障がい者(認知症患者)がいる】

Q:近時、相続が発生しましたが、相続人に知的障がい者(認知症患者)がいます。遺産相続はどのようにしたらよいでしょうか。

A:知的障がいや認知症のために判断能力が十分でない方は、遺産分割協議に参加することができません。
 その場合、裁判所に成年後見人を選任してもらうことが一般的です。近親者が成年後見人となることもできますが、知的障がい者(認知症患者)が生きている間は原則として途中で辞められないことには留意が必要です。また、本人に1000万円を超える金融資産がある場合には、裁判所に信託銀行の利用を要求されることもあります。
 障がい者(認知症患者)は施設で安定した生活を送っており、そこまで大げさにする必要はないというケースもあると思います。その場合は、裁判所に遺産分割調停を申し立てるとともに、障がい者の方の特別代理人の選任を申し立てるという方法もあります。
 特別代理人には弁護士や司法書士が選任され、遺産分割が終了したら、選任の効力も失われます。
 ただし、この方法の場合、障がい者(認知症患者)の利益保護の見地から、障がい者(認知症患者)には、必ず法定相続分の遺産を相続をさせることが要求されます。簡便な反面、融通は利きませんので、注意してください。

【判断能力がしっかりしているうちに後見人を選びたい】

Q:私は、要介護認定され、現在、介護老人保健施設に入所中です。足が不自由で各種の支払いを自分ですることが難しい状態ですが、私には配偶者や子供がおらず、預金など財産の管理をゆだねる近親者がおりません。かといって遠縁の親戚では心配です。以前からよく知っている弁護士に後見人なってもらいたいのですが、判断能力がしっかりしている段階では成年後見制度は使えないと聞きました。良い方法はありませんか。

A:任意後見契約を検討してみてはいかがでしょう。任意後見契約とは、将来、判断能力が衰えた場合に備え、自分の財産管理をゆだねる後見人をあらかじめ選任しておく契約です。
 利用者の希望によっては、判断能力のあるうちから一定の財産管理を後見人予定者にゆだねることもできます。
 あなたの場合、たとえば、預金の管理と諸費用の支払いを弁護士にゆだねるとともに、弁護士には、3か月に一度、通帳のコピーを添えて、収支の報告させるという契約が適していると思います。
 任意後見契約書は公証役場で作成することが義務付けられ、国の機関に登記もされます。
 よって、おかしな内容の契約を結ばされる心配はありません。
 また、認知症を発症するなどして本人の判断能力が衰え、後見人選任の段階に至ると、裁判所が第三者(弁護士等)を後見監督人を選任することになっていますので、公的な監督もあります。
 任意後見制度は平成12年に創設された比較的新しい制度ですが、後見人の人選や財産管理の方法に関して利用者の意向が100%反映される点が評価され、最近利用が進んでおります。
 信頼できる方が身近にいる場合は、検討に値する制度です(成年後見とは異なり、本人の権限は無くなりません。よって、財産管理のどの部分を任意後見人にゆだねるか本人が自由に決めることができます)。
 ちなみに、後見人の報酬は月2〜5万円(税別)、後見監督人の報酬は月1〜2万円(税込)くらいが相場です。

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弁護士 飯島 章弘
弁護士 小林 憲生