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あおい法律事務所は、企業再生、事業承継、交通事故、相続、離婚、債務整理などの民事・家事事件を取り扱う総合法律事務所です。

TEL. 029-353-7855

〒310-0062 茨城県水戸市大町1丁目2番27号

よくある相談と回答例

事業承継・M&A

【初めてのM&A】

Q:中規模の会社を経営しています。取引先を通じて同業他社の買収を打診されました。M&Aは初めての経験です。留意すべき点について教えてください。

A:M&Aには、@株式取得とA事業譲渡の2つの方法があります。
 ほかに合併、会社分割という方法もありますが、中小企業では上記の2つの方法が最も多く使われているので、そのメリット、デメリットについて簡単に説明します。
 @株式取得
  相手方の株式を全部取得する方法です。
  メリット :手続きが簡単。多くの場合、許認可を取り直す必要なし。
  デメリット:帳簿に載っていない債務負担のリスクあり。
 A事業譲渡
  相手方の事業用資産・契約のうち必要なものをピックアップして譲り受ける方法です。
  メリット :帳簿に載っていない債務負担のリスクなし。
  デメリット:手続きが面倒。多くの場合、許認可を取り直す必要がある。

 中小企業のM&Aは会計士や税理士のアドバイスだけで進めてしまうケースも多いようですが、弁護士の目から見ると、かなり危なっかしいように見えます。
 弁護士のチェックが必要なのは、A.契約書の作成、B.雇用問題の対応の二つの局面です。
A.事前の調査、契約書の作成
 株式取得の方法では、帳簿に載っていない債務(取引先、顧客、元従業員からの損害賠償請求など)がないか、あるいは裁判所や監督官庁などから処分を受けていないかなどを事前に調査します。
 もっとも、どんなに調査を尽くしても予想外の事態を完全に防ぐことはできませんし、小規模のM&Aでは予算などの都合からこれらの調査を省略するケースもあります。
 そこで、株式取得後にこれらの問題が発覚した場合に、損害賠償、契約解除ができるように契約書の条文を整えておく必要があります。
 事業譲渡の方法では、譲渡する資産、契約、債務の範囲を契約書で逐一明記する必要があります。

 会計士や税理士は会計・税務のプロですが、契約の専門家ではないのため、市販の契約書式をほぼそのまま使っているケースが大半ですが、それでは万一の場合、リスクに対応できるとは限りません。

B.雇用問題の対応
 従業員の雇用をそのまま維持するのであれば、そう難しくはありません。
 しかし、現実には、それではM&Aが成功させることは難しいでしょうから、多くの場合、継続する従業員を絞り込んだり、雇用条件を見直したりすると思います。
 雇用問題は法律的に最もリスクの高い分野ですので、慎重に段取りを組まなければなりません。この辺りは、労使紛争を何度も扱ったことのあるる弁護士でない限り有効な助言はできません(訴訟を扱えない社会保険労務士ではとても無理だと思います)。
 契約書の作成とアドバイスだけであれば、さほどの費用も掛かりませんので(当事務所の場合、16万2000円(税込))、保険と考えて弁護士に依頼してみてはどうでしょうか。

【親子間の事業承継】

Q:小規模の株式会社を経営しております。私も高齢ですので、そろそろ専務取締役の息子に会社を継がせたいと思っています。事業承継とはどのようにするものなのでしょうか。金融債務の連帯保証人は息子に変更してもらえるのでしょうか。

A:事業承継には、以下の2つの方法があります。
 @代表取締役の交代のみを行う方法
 A代表取締役の交代に加え、株式の譲渡も行う方法
 
 多くのケースでは@の方法が取られていますが、@の方法では連帯保証人が変更されません(それだけではなく、新代表者も追加で連帯保証人になるように要求されます)。
 連帯保証人を新代表者に変更してもらいたいのであれば、Aの方法による必要があります。Aの方法による場合、株式を手放すだけでなく、役員からも退くことが要求されます(従って、会社から報酬などは一切受け取れなくなります)。また、現代表者の個人資産を事業用に使っているのであれば、それも会社に譲渡するように求められます。
 以前は連帯保証人の変更は非常に難しかったのですが、最近は、国の指導もあってかなり認められるようになりました。したがって、以前にうまくいかなかったケースでも今なら思い通りに事業承継できる場合もあります。メインの金融機関に相談するとよいでしょう。

 事業承継は、親子間でも結構揉めるものです。条件面での協議がまとまらずに廃業に至る例も稀にあります。
 揉めている会社を見ると、@事業承継前に負債を増加させたために後継者の負担感が強い、A退職金の積立準備が遅すぎて資金繰りに不安が生じている、Bそもそも現代表者の引退が遅すぎて後継者との間で感情的な摩擦が生じている、等々計画性に問題がある事案が大半です。
 承継の時期を早い段階で決めて、計画的に進めることが肝要です。

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弁護士 飯島 章弘
弁護士 小林 憲生